『体系化学』ゼッタイのススメ。私はこうして登り切った。
- イントロ
- 『思考訓練の場としての 体系化学』は、志の高い受験生に最も自信をもって薦められる参考書である。「薦められる」とは、「表紙・レイアウトが綺麗」とか「ほどよくまとまっている」とか「受験生に人気」とかそういう次元の話ではない。「自分の夢を叶えるためには、どんな努力でもできる」あるいは「とにかく化学を学びつくしたい」という情熱を持った受験生の想いに必ず応えてくれる一冊である。
- 『体系化学』(以下略記)と真剣に向き合えば、決して平坦ではないが、「志望校合格」という頂へと続く道が確実に示される。あとは、受験生自身がその道をどう登り切るかである。
- 「なぜそこまで言い切れるのか?」 それは私が他のどの読者よりも真剣に『体系化学』と向き合い、そこから多くのものを学び取り、実際の受験において、険しい道を登り切ったという感覚をはっきりと持った上で志望校に合格することができたからである。人生のかかった受験において「『体系化学』によって志望校に合格できた」とはっきり実感できるからこそ、ここまで強く言い切ることができるのである。
- 以下に、私の辿った道筋を示す。これを参考にして自分自身が登り切るイメージを膨らませ、合格への道筋を自分なりに思い描いて欲しい。
- 『体系化学』と出会う
- 志望校の関係で、受験科目(獣医学科は理科1科目)を、ある程度仕上がっている生物から未履修の化学に変更したこともあり、早急に核となる学習方法を決める必要があった。化学には、「理論」なる難解な計算分野があるということを知り、「理論」の計算分野を未履修の状態から独学で仕上げることができる参考書を探していた。
- まずは、売れ筋とされる見栄えの良い参考書を立ち読みしてみるが、どうにもピンとこない。表紙や帯の力強い応援メッセージにも関わらず、なぜか「これならやれる。」というイメージが全く湧かない。今度は、派手な売れ筋の本ではなく地味な感じのする本を手にとってみた。それが『体系化学』であった。
- 私は、立ち読みでも相当な範囲まで読んでから購入するか否かを決める人間なので、その本も実際に相当な範囲まで読んでみた。すると、「独習可能」、「才能不要」、「解法統一」、「暗記最小限」、「再入門可」と自分自身にとってうれしい内容が次々に飛び出してくるではないか。「この書は自分のためにこそ書かれたとしか思えない、もう絶対にこれしかない」と思い、その直観を信じて購入した。
- 実際に取り組んでみると独習用参考書として、非常によく機能してくれ、テンポ良く進めることができた。当初は、自分自身が化学未履修ということで、演習どころかテキストの読み込み自体が困難なのではないかと危惧したが、完全に杞憂であった。
- 再入門テキストとしての万全の配慮が本文・演習の両方においてなされており、未履修者・再履修者ともに本文・演習の内容に集中できる。例えば、初出の物質に関しては物質名・化学式が併記してあり、知識の乏しい未履修者にとっては非常に親切な造りになっている。また原子・分子・元素の違いというような基本的だが非常に重要な事柄が最初の演習問題において言及される等、演習問題の順序・選択に関しても格別の配慮がなされている。ほかには、各種公式の意味が数式や文字記号ではなく文章で説明されており、この辺も文系出身の再受験生である私には大変ありがたかった。
- この特長により、読解力のある者はさらに理解を深めることができ、入門レベルの者は理解する取っ掛かりをつかむことができる。従来の理系の参考書にはない特長であり、大きな魅力の1つであると思う。「思考訓練の場としての体系化学」と銘打っているが、決して読者不在の難解な内容ではない。よくある大学教養レベルの先取りでもない。筆者が自分自身の表現で、読者にもよく共感・イメージできる具体例を豊富に示した上で本書の内容を一つの流れのように展開している。それゆえ、あっという間に本書の世界観に入り込むことが可能になっている。つまり理系の参考書として演習に利用するだけでなく、時代小説のような独特の世界観・ストーリーを持った読み物として付き合うことができるのである。無味乾燥なのが当たり前の理系の参考書にあって「自分の興味のある小説と同じように付き合える」ことが如何に素晴らしいか、お分かりいただけると思う。
- 当然の結果として、読み込み・演習は順調に進んでいくのであるが・・・。