『体系化学』ゼッタイのススメー2ー 私はこうして登り切った。
- GHSと出会う ー読者から塾生へー
- 本書の本文以外の箇所には、「GHSでは云々」というくだりが何回も登場する。受験生という微妙な立場にいると、その類の情報が気になるものである。そこで件の「GHS予備校」なるものをネットで調べてみる。
- HPは個性的であり、他の予備校の機械的なつくりのものとは雰囲気がちがう。HPには「体系的に学ぶ」とか「総数少人数制」とか「数学セメント」とか、さらに気になるフレーズが出てくる。そこで塾長との面談を希望し、初回面談時の塾長による英文解釈講義に感銘を受け、その場で入塾を決めた。
- GHSの「体系化学」の授業では、『体系化学』の内容を講義・演習により更に深めていく。深めていくわけであるからもちろん、テキストと同じ問題を解くわけでもなければ、同じ説明がなされるわけでもない。市販の出版物であるがゆえの表現的制約や技術的な制約は取り払われ、20名程度の少人数制授業には、予備校で生じがちな講師と生徒との距離感は全くない。
- 著者 本人との双方向・対話授業という通常ならば絶対にあり得ない、贅沢な指導が展開されていく。だが双方向対話であるがゆえに、理解を深め先へ進むためには、自分の中に残る一切の曖昧さを排除しなければならない。テキストの理解が曖昧な状態で、その先の段階の学びを、自分勝手に一方的に望むことには意味がない。無理に進んでも決して早くは進めないし、曖昧さから生じた誤解を解くためにはより多くの時間を必要とする。とにかく目先のスピートにはこだわらず、着実に理解し先に進むことを重視した。「早く進みたいからこそ、時間を割いて着実に」、それが未履修生としてあるべき謙虚な姿勢と考えたからだ。
- もちろん既習者だからといってどんどん進めば良いという訳ではない。なにごとにも準備というものは必要なのであって・・・。
- 「体系化学」授業と出会う ー準備・予習編—
- 私は先に進むにあたって、「身に付いている」という実感を大切にした。テキストの演習にあたっては計算よりも立式を重視し、さらに立式できるか否かではなく、いかに立式できたかを重視した。解答が正解であることは当然で、正解の中でも正着であるか、解答に至るまで誤答が頭をよぎっていないか、解答が瞬時に浮かんだか、各回の演習を一息で集中して解答できたかどうかも重視して演習を行った。
- 私の場合は、納得できるレベルまで各回5回程度の演習を要することが多かったので、その5回という回数を一応の目安として設定した。もちろん理解しにくい単元に関しては目安とは関係なく納得できるまで演習し、スムーズな単元であっても最低5回は演習することにした。逆にこのくらい定着させないと、「準備不足では、授業において深めるモノが自分の中にまだない」というのが率直なところである。
- もちろんここまでの準備を毎週の進度に合わせて授業開始前までに行ったわけであるから、大変なことは大変であった。ただ、中途半端に行えばつらかっただろうが、こだわりにこだわり貫いて演習を行ったので1回1回の進歩がはっきり実感でき満足感があった。また演習回数を表す「正の字」がテキストにあふれていく様も心地よいものであった。そしてそれが次に取り組むエネルギーを与えてくれた。
- これから『体系化学』に取り組む人に対しては、「とことんこだわって、自分なりの愉しみを見つけて欲しい」といっておきたい。
- ここまでの準備を整えていればこそ、授業において微妙なニュアンスの違いや数値には表われないちょっとした勘違いに気づくことができる。また、講師の直接の語り掛けから、「テキストの行間にこめられている思い」にも気付くことができ、それを吸い上げ自分のモノにすることができるのである。
- 例えば、1stステージに関して、「単なる計算用公式を紹介する章」と考えてはいないだろうか。もしそれに近い感想であったらもう一度読み直して欲しい。ここでは「8つの基礎公式はモルでつながっている。」という記述から「8つの基礎公式はモルそのものである。」ということに気づき、「モルで統一する」ということは「公式の数に制限されることのない無限の拡張性がある」ということを感じて欲しいところである。
- ここまでが準備・導入段階である。ここまで内容での注意事項は、「準備・予習段階の演習に関しては時間をかけて考えないこと」である。問題を見て答えが瞬時に浮かばなければ、余計な事は考えず潔くあきらめて解答を確認・熟読する。そのかわり演習回数には含めない。けっして先に進んではならない。もう一度テキストを読み、しばらくしてから再度挑戦する。そこで瞬時に解答できて初めて演習1回とみなす。とにかくいたずらに誤答を生み出さないで、演習のたびに「正しい立式の美しさ」を強く意識して欲しい。
- というのも体系化学的思考ができない準備的段階で、未熟な頭を使ってあれこれ考えると、思考が誤った方向に進んでいく可能性が高く、演習時に下手に悩んだがゆえに、誤答が生み出される思考パターンだけが印象深く頭に残る可能性がある。
- 「下手の考え休むにしかず」*とはこのことである。
- 思考訓練の場であるからといって、やみくもに考えればよいわけではない。考えるべき土台があって初めて正しく思考できるのである。とにかく分からなくなったなら何度でもテキストに戻る、これを基本とすべきである。
- また、先ほども少し述べたが演習問題の配列に関しては格別の配慮がなされている。ゆえに復習だからといって問題ごとにバラバラに演習することは薦められない。ゼッタイに、ステージを通して順番どおりに復習すること。時間的に難しければ、せめて演習回ごとに区切って順番を守って復習するのが良い。これを繰り返すことによってテキスト全体の流れを感じ取ることができ、演習問題の復習を行っているだけなのに本文の理解まで高まってくる。まさしく「配列の妙」といえる。
- いかに筆者が受験生を思い、時間をかけて演習問題を選び・配列したのか......、この復習をたくさんしたからこそハッキリと感じ取れたのだと思う。せっかく『体系化学』に取り組むのであれば、この感覚も是非とも味わっていただきたいと思う。
- しかるべく準備を整えた上で類題演習を行うことを通して、理解を深めていくことができる。この段階まできていれば問題を解くときに悩み・考えもよい。もちろん悩み・考えるにしても自己流でダラダラ行っては意味がないわけで・・・。